~社会人卒業証書~

社会のレールから脱却したいあなたへ。

新・着物論

1月28日をもってぼくは約2年勤めた会社を退職しました。

 

なんの知識もないしょうもない学生だったぼくが着物業界に飛び込んで、

 

本当に着物のことや業界の現状など良い面も悪い面もいろいろ知ることが

 

できた2年間でした。

 

 

たった2年で何が分かるんやと思われるかもしれませんが、

 

逆にど素人だった普通の学生だったぼくが感じるほどに

 

業界の現状は腐っていました。

 

これは何も着物業界に限らず、

 

どの業界でも外から見れば綺麗で、

 

中に入れば汚い部分が見えるなんてことはあると思います。

 

それを感じて転職する人もいれば、

 

学生に戻る人もいる。

 

ただぼくは単純に

 

『着物を語れたらかっこいいなぁ』

 

ってだけで入ったこの着物業界。

 

着物業界に携われたことは本当に良かったと思っています。

 

この進路を選んで良かったと心から思います。

 

そしてまだまだ着物のことを語れるには程遠いし、

 

若い人たち離職率が高いこの業界をぼくが別の業界に

 

転職してしまっては結局実状は何も変わらないと感じました。

 

だからこそぼくは今年から一級和裁技能士を目指して、

 

和裁の道に進むことを決めました。

 

ここから10年。

 

なれるかどうかは分かりませんが、

 

少なからず若い人の力がなければこの業界が変わることはありません。

 

廃れるのも、

 

滅びるのも、

 

全て今の着物業界の実態が変わらず続いているからに他なりません。

 

ぼくはこの2年間で着物が好きになりました。

 

入る前は浴衣も着物だと思っていたくらいに無知で

 

全然興味のない世界でしたが、

 

着物はやっぱりかっこいいなと感じます。

 

普段洋服の人が着物を着たらドキッとするし、

 

男の人はもっと着物を着たらかっこよくなるのにと思ったりします。

 

もっと若い人に、

 

10代、20代の人たちに浴衣や振袖だけでなくいろんな着物を

 

知ってもらいたいし、

 

触れてもらいたい。

 

そう感じるようになるとともに着物は時代にそぐわない衣服であり、

 

需要も少なくなってきているものであるのも実状で業界の市場規模は

 

年々縮小してきている。

 

ぼくは時代の流れのせいもあると思うが、

 

業界の横着し続けていたツケが回ってきたとも感じている。

 

これからの時代、

 

消費者が前に出られる時代。

 

消費者が自分で選べる時代。

 

いくら供給側が勧めても消費者はそう簡単に首を縦には振らない。

 

そんなことは10年、20年も前から前兆が起きていたはずのこと。

 

にもかかわらず、

 

業界は振袖を勧め、

 

うまい口で着物を買わせる。

 

全ての呉服屋がそうだとは言いませんが、

 

大多数が売上の減少から余裕がなくなり

 

『なんとか着物をなんとか着物を』

 

とお客さんの需要よりも売上を先行させてしまっている。

 

そしてお客さんはどんどん離れていく。

 

買ってくれたお客さんに聞けば、

 

買った着物もまだ1度も着ていないと言う。

 

それじゃあ何のために自分たちは着物を売っているのか。

 

この負のサイクルが続く限り着物人口は絶対に増えない。

 

だからぼく1人が一級和裁技能士になれたところで

 

現状は何も変わらないかもしれない。

 

けど、

 

誰かが何かしない限り何も起こらない。

 

今必要なのは東京オリンピックでの見せかけの着物を作ることでもなく、

 

有名女優に着物を着せることでもなく、

 

お店を増やすことでもありません。

 

業界全体が変わることが必要です。

 

そのためには業界はいい加減に着物だけに固執している場合じゃありません。

 

着物から離れないといけません。

 

着物を新しいファッションにしないといけません。

 

日本人は変化を特に嫌う人種らしいですが、

 

着物業界は人も日本人だし、

 

モノも伝統的に続く日本のものです。

 

伝統は良い意味で使われる言葉ですが、

 

裏を返せばずっと変化してこなかったってことです。

 

いい加減モノも業界も変わらないと本当に着物文化は

 

いずれなくなってしまうのではないかと感じています。

 

だからこそこの業界に必要なのは全く知識のない、

 

柔軟性のある若い人たちです。

 

ややこしいルールや作法。

 

これも大事なものですが、

 

これにこだわっていては着物はどんどん廃れていく。

 

時代に応じて通信機器が変化していったように、

 

流行の服が変わっていったように、

 

音楽が変わっていったように、

 

食が変わっていったように、

 

着物も時代に応じて、

 

需要に応じて変化していかなければいけないと思います。

 

全ては需要と供給。

 

この業界で学んだことですが、

 

需要がないところに供給は生まれない。

 

今の時代、

 

和裁士という職業は食べていけない厳しい仕事になってしまいました。

 

ぼくも一級和裁技能士になると言った時に幾度となく、

 

和裁士は食べていけないという言葉を耳にしました。

 

だからってなくなっていい仕事だとは思いませんし、

 

だからといってぼくがそれを目指さなくなる理由に

 

なってはいけないと思います。

 

ぼくはそんな言葉を耳にするたびに、

 

『そりゃ着物しか作ってこなかったからだろ』

 

としか思えませんでした。

 

まだ何も始まっていないからこんな大ボラ吹きになってるんだ、

 

現実は甘くないって言われちゃうかもしれませんが、

 

やってみないと分かりません。

 

全ては需要と供給であって、

 

需要のない時代に着物だけ作っていては

 

そりゃ食べていけなくなるのは誰にだってわかるはずです。

 

だからぼくは和裁の技術だけでなく、

 

洋裁や他にもいろいろなことに手を出していきたいと思っています。

 

そして消費者は日本人だけでなく、

 

海外の人に向けて需要が生まれる着物のあり方を

 

考えていかなければならないと感じます。

 

会社という後ろ盾を無くさなければ一級和裁技能士にはなれない。

 

そんな覚悟を一応決めて退職するという決断をしました。

 

自分が廃れるか、着物が廃れるか。

 

頑張りたいと思います。