和裁士とは何か

和裁士という資格取得を目指して、

今年の2月に会社を退職したのですがこの話を人に話

すと

『和裁士ってなんなの?』

とよく聞かれることあります。

自分としては

『え、その字のまんまやん。。』

って思ってしまったりしてしまう反面、

まあ確かに自分が着物屋になってなかったら

当然知るわけないよなぁと感じたので、

和裁士とはどんなお仕事なのかご紹介してみたいと

思います。

完璧に自己満で書いてますので、

暇な方、

着物に興味がある方はぜひ暇つぶしに読んでいって

頂ければ幸いです。

 

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それでは。

はい、よーいスタート。

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 和裁士とは何か

そもそも着物に馴染みのない人からすると『和裁』

という言葉すら聞いたことがないのかなと。

今の時代ほとんどの人が洋服を着てますからなおさ

ら着物関係の仕事ってニッチになってきているのか

なと感じます。笑

『和裁』ってなんか聞いたことはあるけど具体的に

なにをする仕事なのかまでは分からないって人も多

いんじゃないかと思います。

和裁士とは正確には和裁技能士というお仕事で、

一応りっぱな国家資格です。笑

『和裁』という言葉を聞いてどんなイメージを受け

るでしょうか。

まあなんか裁縫する人?

着物を作る人?

なんか伝統的な職人的な。。

みたいな、こんな感じですかね。笑

逆になんのイメージも出てこない人もいると思いま

す。

この和裁士という仕事は着物に携わっているお仕事

なわけですが、

ひとえに『着物を作る』といっても着物一枚を作る

のには実に多くの職人さんの手と時間がかけられて

います。

基本的に着物を制作する時は分業制で、

蚕から糸を紡ぐ人、

糸に染めを施す人、

紡いだ糸を機織りして1つの反物にしていく人、

できた反物に柄を描いていく人といった感じにそれ

ぞれの工程にそれぞれの職人さんがいます。

1つを例に挙げると、

『友禅(ゆうぜん)』という言葉を耳にしたことはある

でしょうか?

たぶん着物に馴染みがない人でも友禅という言葉を

1度は耳にしたことがあると思います。

友禅と聞くと

『なんとなく京都かなぁ』

みたいな感じで。笑

京都きもの友禅

って有名ですよね。

友禅というのは数ある着物の中の染めの手法の1つで

す。

わかりやすく、

友禅=数ある着物の中のデザインの1つと覚えてもら

って結構だと思います。

その友禅の着物一枚を例に挙げるだけでも完成させ

るまでにこれだけの工程があります。

 

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出典:京都工芸染匠協同組合 http://www.sensho.or.jp/kimono_encyclo/kimono_work/index.html

 

企画考案から湯のし、下絵、金彩、刺繍などそれぞ

れの工程にそれぞれの職人さんが分業して1つの着物

を作っています。

そしてこの工程の中でいう和裁士と呼ばれる人たち

のお仕事がここ。

 

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1番最後の『上げ絵羽(あげえば)』という作業。

和裁士というお仕事はまだ着物の状態になっていな

い一枚の生地を着物の形にするというお仕事になり

ます。

『友禅』の作業工程の中の『上げ絵羽(あげえば)』と

いう着物を買ってくれた人の身長や腕の長さ、

ヒップ等の寸法を測って着物を縫い上げる仕上げ作

業にあたります。

着物屋さんに行くと通常巻物のような形で生地が巻

かれたものがずらっと並んでいます。

この一枚の巻物のことを『反物(たんもの)』といい、

皆さんが着物と聞いて想像するあの形になったもの

を『絵羽(えば)』と言います。

なので着物屋の店員さんはよくお客さんに話す時に

『こちらが反物でして、絵羽の状態にするとこんな

感じで柄が出てきますよ〜。』

と説明したりします。

着物屋さんには出来上がってるものが置いてあると

一般の人にイメージされてしまいがちなのですが、

着物はオーダーメイドなので着物屋さんに行っても

反物しか置いてありません。

なので着物において

『今日買って今日着る』

ということは基本的にできません。笑

つまり和裁士というのは反物から絵羽の状態に仕立

てる人のことを指し、

この仕立てるという作業はお客さんが着物屋さんか

ら反物を買ってくれた後に着物屋さんから反物を受

け取って仕上げるということになります。

なので、

『自分の着物を作りたい!』

と思っている人は着物屋さんでまず自分の好みの柄

の反物を探すところから始まります。

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一級和裁技能士と和裁技能検定の概要 

最初の方に和裁士は一応国家資格と言いましたが、

実はこの和裁士は資格がなくても仕事はできちゃい

ます。笑

だからやろうと思えば誰でも今日から和裁の仕事で

起業することもできるわけです。

しかし今の時代着物をわざわざ誂える人は少ないで

すから、

当然着物業界の仕事量も市場規模も昔と比べるとか

なり少なくなってしまいました。

ただでさえ少ない仕事量が少ないわけですから、

その中から自分に仕事を与えてもらえるようになる

にはある程度の目に見える実績が必要になっていき

ます。

そして仕事量が少なくなってきてはいても、

着物は一枚作るのにとてもお金がかかります。

もちろんお金がかかっている分当然お客さんは実績

が確かで、

出来上がりが綺麗なところというのを自分の目で見

て確かめて信頼して誂えるわけです。

なので

『和裁の仕事はじめました〜。』

って言ったところでおそらく仕事は1ミリたりとも入

ってこないでしょう。笑

そのための目に見える実績というのが

『和裁技能士

という国家資格の取得になります。

僕はその中の

『一級和裁技能士

という国家資格の取得を目標にしているわけです

が、

この資格は和裁技能検定という試験を合格すること

で『和裁技能士』という称号を取得することができ

ます。

概要は以下になっています。

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出典:衣裳研究会 http://isyoukenkyukai.co.jp/index.php?和裁技能士とは

年1回のみの試験で、

この試験には実技と学科があり、

受験資格にも規定があります。

『取得までの年数』

というところにも書いてあるように2級の人が1級試

験を受けるには合格してから2年の期間を設けないと

いけません。

なので1級を取得するには誰でも最低4年かかること

になります。

さらにこの試験の受験資格には『実務経験年数』も

対象に入ります。

つまり実際に和裁の経験をした年数になります。

上記に書いてあるように1級を受けるには実務経験が

7年以上ないといけません。

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ただ、

これは例えば服飾の専門学校を卒業しているとか、

職業訓練校に通ってるなど試験を受ける人がどんな

ところで訓練、勉強しているかによって必要年数が

異なってくるので、

必ずしも受験者全員が7年間を要するというわけでは

ありません。

例えば大学を卒業している人は4年の期間で受験可能

です。

受験するまでの間には能力の個人差やモチベーショ

ンなど様々な要素も含まれるので、

一概には言えませんが『一級和裁技能士』を取得す

るまでには最短でも5、6年はかかるのが相場となっ

ているようです。

この和裁という分野では、

この『一級和裁技能士』という資格を取得して初め

てプロと呼ばれるだけの技術があると見なされるよ

うです。

 

最後に 

最後に和裁士含め、

着物関連の職人さんの数は年々減少の一途をたどっ

ており、

着物の生産数、

市場規模も縮小の歯止めが効かない状況です。

奄美大島等で生産されている着物の代表格でもある

大島紬も、

大正・昭和にかけて年間の生産数が20〜30万反だっ

たのが、

現在は4000反弱にまで減っています。

(参照:本場奄美大島紬協同組合)

sites.google.com

 

着る人が減ればその分、

職人さんの仕事も減ってしまいます。

分業制を主としている着物の製作分野に関しては1人

の職人さんの仕事だけでなくそれに携わっている全

ての職人さんの仕事が応じてなくなってしまいま

す。

それは和裁士の仕事も同様です。

浅草や鎌倉に行けば3千円くらいで着物をレンタルす

ることができますし、

和柄の小物を持つだけでも十分だと思います。

入口はどんなことでも構わないと思います。

ここまで読んで頂いた方にはぜひ少しでも着物に興

味を持って頂けたら幸いです。

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ありがとうございました。